1
雲の影、寝そべる僕を過ぎ去りし
雲来し前と
雲去りし後と
どちらがほんとうの空なりしか
2
雲の影、寝そべる僕を過ぎ去りし
雲来し前のよろこびと
雲去りし後のかなしみと
どちらが僕の感情なりしか
3
雲の影、寝そべる僕を過ぎ去りし
われは空から
自分を眺めり
どちらの僕が僕なりしか
4
雲の影、寝そべる僕を過ぎ去りし
雲に乗りて
共に去り行く
残されし僕は誰なりしか
5
雲の影、寝そべる僕を過ぎ去りし
雲のみ残して
駆け去りし影
どちらに僕は従ふべきか
6
雲の影、寝そべる僕を過ぎ去りし
空のみ残して
すべては消ゆる
いったい僕はどこに行きしか
7
雲の影、寝そべる僕を過ぎ去りし
おのれの他には
なにひとつなし
—あの思い出は
空だったのか、
雲だったのか
