Shinpi Me

神秘の私 / 内なる自由を見つける

本当の自分を明かすと、人生が変わる(後半)-老子とデヴィッド・ボウイは告白する



③老子の教えと「道」を明かすこと

以上に書いたことを老子の言葉を借りて、考えてみよう。


道隠無名。夫唯道善貸且成。

道は隠れて名なし。夫れ唯だ道は、善く貸し且つ善く成す。


【訳文】

道(タオ)は現象の背後に隠れ、もともと名づけようのないもの。見ることも聞くこともできないが、それこそがあらゆる事物に力を貸し、完成へと導く。
道は自然の流れそのものであり、私たちが何かをしようとするとき、その流れに乗ることで支えとなる。


老子がこう言っているように、「道(タオ)」は現象の背後に隠れている。

これを私は、それぞれの人の中にあると考えている。
そして、それを表すならば、その人に十分な力を与えて、その人を本来の自分へと完成させる。

自分が能動的に、内面にある「道」を表現するように努めると、その「道」が全面的に協力してくれるんだ。

だから、人はただ委ねればいい。

こう書きながら、自分自身が励まされているように感じている。

文章を書いていると、あまり読まれないものを書いてもしょうがないのではないか、自分の表現が下手であるから、反応が薄いのではないかと雑念が浮かんでしまい、ブレーキがかかる。

でも、ほんとうはただひたすらに自分の中にあるものを外に出そうとすることだけが動機でいいんだ。

(もちろん出そうとすることは、表現すること、相手に伝えることであるから、どう表現すると分かるか、伝わるかと工夫することは当然のことである。)

すると、その中にあるもの自体が完成へと導いてくれる。


完成といっても、人間の目から見て完璧になることではなくて、生み出されるということだろう。さまざまな生物がさまざまに生み出されるが完成でないものは一つもなく、一方で完成しているものは何一つもない。

人の目から見ると不完全なものも、神の目から見ると完全になる。


④デヴィッド・ボウイが語る「内側の声を大切にすること」


デヴィッド・ボウイ(: David Bowie、1947年1月8日 – 2016年1月10日 イングランド出身のロックミュージシャンシンガーソングライター俳優)の言葉を紹介しよう。

musician honyaku[翻訳ミュージシャン]より

【若いアーティスト達へアドバイスをするデヴィッド・ボウイ】



他の人の為だけに働いたり動いてはいけないよ

最初は自分の中のなにかから動きはじめたことを常に忘れてはいけないよ。

それを明らかに出来ていれば、

自分自身のことをより理解できるし、

どのように社会と共存すれば良いかわかるよ。

そして、

アーティストにとって他の誰かの期待に応えようとする事は、あまりにも危険すぎると思うよ。

それをやってしまったら、基本的にその人の中での最低の作品になってしまうと思うよ。

(後略)

(注)傍線は筆者が引いた。



これは、アーティストだけの話ではなく、どんな職業のどんな年齢の人にも通じることだと思う。

とにかく外側からの強制や社会常識や他人から評価されるためではなくて、自分の中のなにかを動機に行動したり、表現したりすることが必要だ。

この何かが見つからなければ、いつまでも周囲に振り回され、ぶれることになる。


初めから、自分の中の奥深いところまでわかる必要はない。浅くてもいい、自分の中から発するものであればいいであろう。


今日も、オムライスを食べたけど、今日も食べたいと思うなら、続けて食べるのはおかしいという自分の固定概念を破って、オムライスを食べるといい。

雨風が強いけど、どうしても自転車であのカフェに行きたいと思えば、レインコートでも着ていくといい。

(もちろん、お店の中が濡れないように気づかってね)


⑤自分を表現するための実践法(朝のノート & 音声アプリ)



それでも、自分の内面に向き合えないという人のために、以下の2つの方法を提案しよう。

【朝の寝起きにノートに書きたいことを書く】

●朝ベッドの中から起き上がってすぐに、あらかじめ用意していたノートに言葉や絵、自分の好きなものを書きなぐる。

●10分でもいい、30分でもいい。タイマーで時間を区切り、書けるだけのことを書く。

●ポイントは、筆を止めないこと。制限時間まで筆を動かし続けること。

●日々、ノートに書いて1冊終わったら、そのノートは捨ててしまうくらいがいい。ともかく自分以外の誰にも見せないのが前提。

●必要なら、その箇所をメモしておく。いいアイデアなどは出やすいのだ。


寝起きは、夢と現実の狭間であり、潜在意識と顕在意識の中間のような状態である。そのときこそ、顕在意識では常識等によって阻まれていたブロックがはずれ、ほんとうの自分の気持ちが現れやすい。

最初は5分でもいい。完璧に表現しようとせず、ただ言葉や思いを外に出してみることが大切。続けることで、自分を明かすことへの抵抗が少しずつなくなっていく。

【音声アプリに自分のつぶやきを録音する】

●スマホなどについている音声アプリ(なければインストールする)に自分のつぶやきを密かに録音する。

●場所は誰もいない、もしくは誰にも聞こえない場所で録音する。

●ともかく一人でため息をついたり、独り言をいうように、リラックスして行う。

●もちろん、周囲が許される場所ならば、大声をあげても怒鳴ってもいい。ともかく本音を出すこと。出せなくても、その訓練のつもりでやる。

●数日経って、録音を聞いてみる。そのとき、これは本音で言っているなとか、かっこうつけてるかは分かるはずである。本音を大事にする。

●ノート同様、もう1回聞き直したら、録音は削除する。


私はテレビもラジオも制作に携わったことがあるので声がいかにその人を表しているかがわかる。タレントや出演者の本音が見えるのは、圧倒的にテレビよりラジオなのだ。

この場合は、他人のハートを聞くのではなくて、自分のハートの声を外に出し、また自分で聞く訓練である。


それによって、以前より人に自分を表せるようになるだろうし、自分をわかるようになる。


(END)