STEMをご存じだろうか。
S:Science サイエンス(科学)
T:Technology テクノロジー(技術)
E:Engineering エンジニアリング(工学)
M:Mathematics マセマティックス(数学)
IT社会、グローバル社会において、とくにAI社会が間近に迫っている中、
国際競争力をつけるには、これらを学んでいく、教育していくことが大事だという。
これに創造性を加味して、
A:Art アート(芸術)もしくは
Arts アーツ(リベラルアーツ、教養))
を加えたSTEAM教育を行う学校もある。
日本マイクロソフト元社長の成毛眞は、その著書『AI時代の人生戦略 「STEM」が最強の武器である』の中で、それらの大切さを強調したうえで、
「STEMの知識はパーツであり、それぞれに関連性を見いだし、組み合わせて活用する手腕、それを支える思考回路が欠かせない」
と書いている。
そしてそのためには、ひとことでいえば「経験値」をあげるしかないが、自分ひとりの「経験」には限りがある。ゆえに、小説などの「フィクション」を読んで経験値を疑似体験するといい。中でもSF(サイエンス・フィクション)がおすすめという。
私は専門外ではあるがものの道理から見て
STEAMを使いこなすには、さらに掘り下げて、根を育てないといけないと思う。
とにかく人間というものは、
栄えようと思ったならば、
まず何よりも根に返らなければいけない。
草木でも、
本当に健やかに繁茂させようと思ったならば、
いたずらに枝葉を伸ばしては駄目で、
幹を逞しくし、根を深く養わなければならない。
根に返ることが大事である。

根とは、心である。
サイエンスでも、テクノロジーでも、エンジニアリングでも、マセマティクスでも、アートでももとは、人間の心から派生していった「枝葉」である。
そこにばかり意識を向けても、いつしか立ち枯れてしまう。
技術の発達とともに心の問題が増えてきているし、科学技術の最先端の場で活躍する人に、精神を病む人が多いという。
一方で、ノーベル賞を受賞するような科学者は、観察しているとメンタルが強い人が多い。IT分野でも最前線にいて生き残っていく人は、心が安定している人が多いであろう。
「自分の心」という根に返るには、まずは自分を見つめることだ。外側に向けていた意識を内に向ける。
今までそういうことをやってこなかった人は「素手」では難しいだろう。
だから古典を読んで、自分に返ることをおすすめする。
『論語』などの四書、仏典。もう少し新しくなって『言志録』、『菜根譚』など。
西洋では、ギリシア哲学、聖書、ローマ哲学など。
心に響いた個所だけでいい。そこだけを繰り返し心に染み渡らせるように読むとともに、なんでそこが心に響くのか自分の💛に聞き、自分はどうなんだと自分に返る、すなわち根に返るのだ。
念のためいうがSTEAMを否定しているわけではない。
多いに学ぶべきだし、その必要があると思う。また、それを学んでいくことは楽しいだろう。
一方で、樹木がそうであるように、地面の奥深く、広く「根」を育てる必要がある。
それでこそバランスがとれ、自分という木が永久に繁茂していくことができるのだ。
