「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」
『葉隠』の冒頭にある文であるが、このことだけでも
武士道が単なる切った切られた、殺した殺されたの
野蛮な生き方でないことが分かる。
ようするに死を超えることなのである。
死をも恐れない自分をつくることである。
そこには、この「生」とはほんの束の間の
氷山でいえば海面上に見えている一部分にしか
過ぎない事への徹見がある。
戦時中、まったく浅薄なキャッチフレーズとして
使われたとのことだが、そこからこの言葉を透して
見える壮大な風景がなくなったような気がして
残念でならない。
